13.住所変更登記で住所の沿革を証明できない場合

登記名義人の住所の変更登記の申請の添付書面として、登記名義人の登記簿上の住所から、現在の住所までの住所の変遷を証明する住民票または戸籍の附票が必要とされます。

 

ところが、住民票や戸籍の附票は、転居や転籍などの理由でひとたびその記載が削除されて除票となりますと、その時点からわずか5年廃棄処分になってしまいます。
そのため、住所の変遷を証明するために必要な住民票または戸籍の附票(の除票など)が揃えられない事態が生じるケースがあります。

 

登記名義人の住所の変更登記は、不動産の売買や金融機関のローンの借り換えのための登記の事案で前提として必要となるケースが多いため、私ども司法書士としましては、せめて10年くらい保存しておいてくれれば…、と思うことも多々ありますが、こういったケースが結構多いのが現状です。

 

そこで、こういった場合の代替手段として、上申書を用いる方法で登記申請を行います。この、上申書を用いる方法は相続登記でも行われています。

※相続登記におけるケースは、当ホームページの法律相談室内、相続・財産承継の項目の「26.上申書という書類について その2 住所の沿革がつかない場合」をご覧ください。

 

上申書には、簡単に言いますと、「申請人の登記簿記載上の住所から現在の住所への沿革を証明する住民票や戸籍の附票の一部が、廃棄処分されているため添付できませんが、登記簿上の名義人は申請人本人に間違いございません。決して御庁にはご迷惑をおかけしませんので、本登記を受理いただきたく宜しくお願い致します。」などと書いて、申請人が実印を捺印し、印鑑証明書を添付します。

 

また、法務局の登記官によっても多少異なりますが、実務上は権利証の写しの添付を求められることが多いです。

※通常、登記名義人の住所の変更登記が必要となるのは、不動産の売買の売主様や、金融機関のローンの設定者様であるケースが多いですので、印鑑証明書も権利証も登記申請に添付すべき書類に含まれています。従いまして、これらは兼用することが可能です。

 

はしもと司法書士事務所でも、この、住所の沿革がつかない場合の上申書の作成もさせていただきますので、詳しくはご相談ください。