遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するための手続きを実際に行う人のことです。
遺言をされたご本人様は相続発生時には亡くなられているわけですから、当然ご自身で遺言の内容を実現させることはできません。そこで、遺言の内容の実現は、相続人の中の誰か、または遺言執行者に委ねられることになります。
しかし、相続人の中に遺言の内容に納得していない方がいたりすると、相続人のうちの特定の方に遺言を執行させることで相続人間の対立が生じたり、執行の手続きが複雑だったりすると遺言の執行がスムーズに進まないおそれがあります。
そこで、遺言によってあらかじめ遺言執行者を指定しておくことで、そのようなトラブルを防止することが可能になります。遺言執行者は信頼できる人や、司法書士などの専門家を指定するのが一般的です。また、具体的な遺言執行者を指定するだけでなく、その指定を第三者に委託するという内容の遺言も可能です。
一方、遺言で遺言執行者が指定されていない場合には、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることもできます。
また、次の場合には、遺言執行者の存在が必須ですので、もし遺言で遺言執行者が指定されていない場合には、家庭裁判所に選任を申し立てることになります。
①相続人を廃除したり、廃除を取り消したりする場合
相続人の廃除とは、虐待・侮辱などの非行をする人を相続人にさせないための手続きのことです。
②子を認知する場合
婚姻関係にない人との間に生まれた子供を自分の子供として届け出ることです。
これらのケースはいずれも利害関係が複雑にからんでくるため、遺言執行の処理をスムーズに進める必要があるためです。
【遺言執行者には誰がなれるのか?】
遺言執行者には、未成年者・破産者以外は誰でもなることができます。相続人など利害関係のある方でも構いませんが、利害関係者が遺言執行者になった場合には争いになるおそれもありますので、紛争防止の観点からは、司法書士などの専門家がなった方が良いでしょう。
【遺言執行者の主な仕事】
◎財産目録の作成
◎廃除(または廃除の取消し)や認知の届出
◎相続財産の名義の変更(不動産なら相続の登記)や解約等の管理・処分
【遺言執行者の選任申立ての手続き】
遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てをします。
必要な書類は、申立書の他に、
◎遺言者の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍謄本
◎遺言書の写し、または遺言書の検認調書謄本の写し
但し、上記2点の書類は、家庭裁判所に検認事件の記録が保存されている場合には不要です。
(事件記録は、検認を受けてから5年間保存されています。)
◎遺言執行者の候補者の住民票または戸籍の附票
◎利害関係を証する資料(親族の方の場合は戸籍謄本など)
◎収入印紙800円分
◎郵送用の切手(額は、家庭裁判所によります。)
※場合により、追加の資料提出を家庭裁判所から要請されることがあります。m
申立てから遺言執行者選任の審判がなされるまで約1ヶ月を要します。
事前に遺言書の検認手続きをしている場合には割と早いようです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
はしもと司法書士事務所
代表 司法書士・相続診断士・民事信託士 橋本浩史(奈良県司法書士会所属 第471号)
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員(会員番号 第6410360号)
(後見人候補者名簿及び後見監督人候補者名簿登載)
簡裁訴訟代理関係業務認定司法書士(認定番号 第1012195号)
一般社団法人相続診断協会認定 相続診断士(認定番号 第512848号)
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