37.戸籍の附票、戸籍の附票の除票、改製原附票について

前回まで、戸籍・除籍・改製原戸籍についてのお話を順次させていただきました。

 

今回は、それらにそれぞれ付随しているものである、附票(ふひょう)というものについてのお話をさせていただきます。

 

住所を証明する書類といえば、何を思い出されるでしょうか。
やはり、住民票とおっしゃる方が圧倒的に多数だと思います。もちろん住民票は住所の証明書です。ですが、他にもう1つあります。

 

それが、今回のテーマの戸籍の附票なのです。

 

戸籍の附票とは、戸籍簿に付随する帳簿のことで、戸籍簿に掲載されている方の住所の移転履歴が記載された帳簿です。

 

戸籍簿に付随して本籍地の市区町村で管理されていますので、戸籍簿と同じように、本籍地の市区町村で写しを請求して交付を受けることができます
また、戸籍の場合と同様に、1組の附票に記載されている全員の記録の写しを謄本(全部事項証明書)、一部の方の記録の写しを抄本(個人事項証明書)といいます。


住民票と戸籍の附票、いずれも公的に住所を証明する書類として利用できます。
但し、その成り立ちの違いから、以下のような違いがあります。また、それぞれに特徴がありますので、ケースバイケースで適宜使い分けるのが良いでしょう。

 

【住民票と戸籍の附票の違い、双方のメリットとデメリット】

 

住民票
戸籍の附票
 管理している役所 住所地の市区町村
本籍地の市区町村
証明できる住所の範囲
同一市区町村内の移動、現在の直前の住所
該当戸籍に入った時点から除かれた時点までの住所
メリット

◎現在の居住地で取得できるので取得しやすい場合が多い

◎住所移動が1回だけ、または同一市区町村内ならば住民票1通で証明可

◎戸籍が変わっていない限り、何度住所が移動したとしても1通の戸籍の附票だけで証明可

◎本籍地の移動を行っていない限り、履歴が廃棄されている可能性が少ない

デメリット

◎市区町村をまたいでの住所移動を繰り返すと、その間のすべての市区町村の住民票の写しが必要になる

◎その場合、移動から時間が経っている(5年以上)場合には、記録そのものが残っていない場合がある

◎本籍地の市区町村に請求するため、人によっては現在の居住地とは違う遠方の市区町村に請求しなければならない場合もある

◎戸籍が変わっている場合には、かえって住民票の写しよりも証明が難しくなる場合がある


【戸籍の附票の除票と改製原附票】

 

戸籍の附票の除票除附票ともいいます)は、除籍簿に付随する附票のことです。

 

本体の戸籍簿の中の人が誰もいなくなって除籍簿となれば、それに付随する附票も現に効力を有するものではなくなって、除票となります。その除票を本籍地の市区町村で管理しており、本人などから写しの請求があれば、住所の移転履歴の証明書として交付しているのです。

 

同様に、改製原附票(かいせいげんふひょう)は、読んで字のごとく改製(作り替える)原(もとの)附票、ということで、改製原戸籍に付随する附票のことです。

 

戸籍簿の作り替えが行われた際に、当然のことながら附票も作り替えられました。その作り替えられる前の改製原附票を本籍地の市区町村で管理しており、これも本人などから写しの請求があれば、住所の移転履歴の証明書として交付しているのです。

 

【なぜ戸籍の附票の除票や改製原附票が必要なのか?】

 

不動産の登記においては、登記簿に記載されたご住所から現在のご住所までの沿革を明らかにすることが必要となる場合があります。

 

除籍や改製によって作り替えられた後の附票にはその時点で住んでおられたご住所しか移記されず、それ以前の住所の移転履歴は除票や改製原附票にしか掲載されていないため、これらの除票または改製原附票を取得することが必要となる場面もあり得ます。

 

ただ、除籍謄本や改製原戸籍の本体と決定的に違うのが、附票の除票および改製原附票の保存期間です。

 

本体は除籍または改製になった時点から150年なのに対し、附票の除票および改製原附票は、たったの5年なのです。

 

5年を過ぎてしまいますと、市区町村の役所では廃棄処分とされてしまいます。そのような場合には住所の沿革を証明することができず、上申書という書類の作成が必要になってくるのです。

 

このような、戸籍の附票、戸籍の附票の除票、改製原附票の取得方法などについてご不明の点がございましたら、お気軽にご相談ください。