33.遺産分割協議書についての留意点

遺産分割協議書とは、亡くなられた方の財産を、それを受け継ぐべき人(相続人)どうしで、具体的にどの財産を誰が受け継ぐのかを話し合って決めた結果を記載して、法定相続人(相続の権利を有する方)全員が署名・捺印した書面のことをいいます。


(詳しくは、3.遺産分割協議書についての項目をご参照ください。)


ここでは、遺産分割協議書にまつわるよくあるご質問についてお答えさせていただきます。

 

Q1.遺産分割協議書は、1通の書面に相続財産全部について記載しないとダメなのですか?


A1.遺産分割協議書は、1通の書面に全てを記載する必要はありません。

 

遺産分割協議書の様式、記載事項、通数などについては、実は法律上の制限がありません。したがって、遺産のうち不動産だけで1通、預貯金だけで1通…という作り方でもOKですし、法定相続人1人につき1通…という作り方でもOKです。

 

もちろん、私どもが遺産分割協議書の文案を作成する際には、財産が具体的にどれであるかを明確にして後日の紛争が生じないよう細心の注意を払いますので、財産ごとに定型の記載方法を採用しております。

 

Q2.遺産分割協議書の署名・捺印をするために、相続人が全員集まらないとダメなのですか?


A2.遺産分割協議書は、同じ時期に全部を作成する必要も、法定相続人全員が一堂に会して署名・捺印をする必要もありません。

 

協議がまとまった遺産から順次作成することもOKですし、後から遺産が発見された場合でも、その遺産についてのみ作成してもOKです。

法定相続人の方の中には遠方にお住まいの方もおられると思います。そのような場合には、郵送でやり取りして署名・捺印していただいても大丈夫です。

 

Q3.遺産分割協議って、一度やったらやり直しができないのですか?


A3.遺産分割協議は、やり直すことも可能です。

 

遺産分割協議をした後で事情が変化して前の協議結果とは異なる内容で再度遺産分割をする必要が生じたときでも、相続人全員が合意すれば遺産分割協議をやり直すことが可能です。

また、当初の遺産分割協議に参加していない相続人がいたり、相続人が財産を隠していたりした場合には、当初の遺産分割協議は無効となるので、遺産分割協議をやり直さなければなりません。

既に不動産について名義を変更する登記がなされた場合であっても、やり直しの結果に従った名義に変更することが可能です。

 

但し、税務上では、遺産分割のやり直しによって相続税の申告をやり直した場合には、相続人間における新たな贈与などとして扱われ、贈与税などが課税されるおそれがあるのでご注意ください。