29.みなし相続財産について

みなし相続財産とは、被相続人(亡くなられた方)が生前に所有しておられた本来の意味での相続財産ではないものの、被相続人の死亡を原因として支払われるお金であるため、相続税の税額の計算にあたっては相続財産の価額に算入する財産のことをいいます。

つまり、国税当局が、「相続財産じゃないけど相続財産とみなして計算するよ」という財産のことです。

 

具体的には、こんな財産がみなし相続財産となります。

 

◎被相続人の死亡前の3年間に相続人に対して贈与された財産
これらの財産がみなし相続財産とされている理由は、被相続人が亡くなられる間際に相続人に対して財産を贈与することで相続税を免れるという行為を防止するためです。

 

◎生命保険金・死亡退職金
一般に、生命保険金を受け取る権利は、保険契約によって発生する権利であるため、通常は保険金の受取人として指定された方の固有の財産となります。

また、死亡退職金は被相続人が生前勤めていた会社や役所などから支給されるものであって、被相続人が財産として所有していたわけではないです。

 

とはいうものの、受取人の方にとっては被相続人の死亡を原因として財産を取得したため、実質は相続で財産を取得したのと同じことであり、計算上は相続財産に加えないと課税上不公平だ、という理由から、みなし相続財産とされているのです。

 

もっとも、生命保険金も死亡退職金も全額がみなし相続財産として算入されるわけではなく、一定の非課税限度額があります。
生命保険金・死亡退職金ともに、それぞれ500万円×(法定相続人の数)が非課税限度額になります。

 

◎弔慰金
弔慰金の場合は、遺族に対するお悔やみとして支給される金銭のことですが、その金額が世間の常識的な金額であれば、相続税は課税されません。

 

しかし、弔慰金という名の下に多額の金銭が支払われるというような節税行為を防止するため、一定の非課税限度額を超えた分についてはみなし相続財産とされているのです。

 

弔慰金の非課税限度額は、次のとおりです。
業務の死亡による場合…賞与を除く普通給与の3年分
業務の死亡による場合…賞与を除く普通給与の半年分


最後までお読みいただき、ありがとうございました。