23.建物が未登記だった場合の相続手続きについて

相続の対象となる不動産のうち、建物については実はそもそも登記自体がされていなかった(未登記だった)、というケースがあります。

 

住宅を購入する場合に、銀行などの金融機関で住宅ローンを借り入れされる場合には担保の設定をするために必要となりますので、建物の登記をしないということは通常はあり得ません。
ところが、金融機関から融資を受けることなく現金で購入される場合には、そのような制約がありませんので、未登記のままのケースもあり得ます。特に古い建物の場合には未登記のケースも意外に多いです。

 

また、建物に固定資産税が課税されているかと、建物の登記がされているかとは全く別の問題です。前者は市町村の仕事、後者は国の仕事だからです。実際に、固定資産税が課税されている未登記建物も数多くあります。

 

【建物が登記されているかどうかを見分ける方法】

 

1.建物についての権利証があるかどうか?

もし、建物について登記がされているのであれば、権利証があるはずです。(建物が建っている)土地についての権利証しかない場合には、建物は未登記の可能性があります。

 

2.建物の登記簿謄本(登記事項証明書)を法務局で取得できるか?

もし、建物が未登記の場合には、そもそも登記簿謄本を取得することができません。法務局で謄本を発行する窓口の係の人に尋ねれば調べてくれます。

※この、土地上の建物の登記簿が取得できるかの確認は、司法書士でも事務所のコンピュータを用いて容易に可能です。お気軽にご相談ください。

 

3.市区町村の役所から毎年ご自宅に郵送される、固定資産税の納税通知書の中に記載されている固定資産の評価額の表に、建物の家屋番号が記載されているか?

家屋番号が記載されていなければ、未登記の可能性が高いです。逆に記載があれば、登記がされた建物です。

 

【未登記の建物を相続する場合のやり方】

 

1.建物表題登記を申請し、その後に相続登記(所有権保存登記)を申請する方法

 

この方法が本来なすべき方法です。
相続によって取得されたということが登記簿によって公示されることになり、建物の権利を第三者に対して主張することが可能になります。
また、将来的にその建物を売却したり、金融機関から融資を受けたりする時にもスムーズに事が運ぶことにもなります。

 

一方で、建物表題登記をも行う必要があるため、どうしても費用面では加算となります。
また建物表題登記は司法書士ではなく、土地家屋調査士の業務となります。土地家屋調査士の先生と私ども司法書士との連携が必要となります。

 

2.建物は未登記のままで、土地のみ相続登記(所有権移転登記)を申請する方法

 

この場合、建物については未登記建物の名義変更届を市区町村の役所の固定資産税担当課に届け出ることになります。
必要書類は基本的に相続登記の必要書類と同じになります。

 

この方法による場合のメリットとしては、登記費用が安く済む、ということです。


デメリットとして挙げられるのは、上記1.の方法のメリットの真逆で、
・相続によって取得されたということが登記簿によって公示されないため、建物の権利を第三者に対して主張することができない
・建物が未登記のままだと売却したり、金融機関から融資を受けられない
・不動産登記法上は、建物は新築の時から1ヶ月以内に登記しないと過料に処せられるとされているため、いわば違法な状態が続くことになる。

 

というわけで、特に1.の方法による場合には、はしもと司法書士事務所でも土地家屋調査士の先生と連携させていただいておりますので、お気軽にご相談ください。
また2.の方法による場合にもお気軽にご相談ください。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。