2.任意後見制度とは

任意後見とは、ご本人様が契約の締結や財産の管理に必要な判断能力をまだ十分に有している間に、将来認知症などの原因でその判断能力が衰えてゆくのに備えて、あらかじめ信頼できる方に判断能力が衰えた後の法律行為などを任せることを内容とする契約を結んでおく、という制度です。

 

前項1.の法定後見が、認知症などが原因で既に判断能力が低下した状態で家庭裁判所の審判によって開始するのに対し、任意後見はまだ判断能力に問題のない段階で、ご本人様と信頼できる方との間の契約によって行われる点が大きく異なります。
つまり、任意後見は、自己決定権の尊重(「自分の将来は自分で決める」ということ)という趣旨に基づいた制度なのです。

 

この、任意後見の契約は、ご本人様と信頼できる方との間の契約を締結することによって行われますが、必ず公正証書による必要があります。
契約の具体的内容ですが、下記の点について話し合いで自由に決めることができます。

 

◎誰が任意後見人となるのか
「信頼できる人」であれば、どなたでも構いません。ご家族、友人のほか、司法書士などの専門家がなる場合もあります。

 

◎どこまでの法律行為などを任意後見人に代わりにやってもらうのか
但し、ご本人様だけが行使できるような権利(結婚・離婚、養子縁組など)を任意後見人に代理してもらうという契約内容にはできません。

 

任意後見契約を公正証書によって締結すると、その内容が法務局に登記されます。
但し、この時点ではまだ任意後見契約の効力は生じていません。

 

そして、将来、ご本人様の判断能力に衰えがみられるようになった場合には、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てます。
任意後見監督人とは、任意後見人(=任意後見契約で選ばれた「信頼できる人」)がきちんと仕事をしているのかをチェックする立場の人です。

 

この任意後見監督人が選任された時点で、初めて任意後見契約の効力が生じ、任意後見人の代理権が発生することになります。
法定後見の場合と異なり、家庭裁判所の監督もこの任意後見監督人を通じた間接的なものにとどまることになります。


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