当法律相談室の4.相続人以外の第三者に財産を承継する方法…遺贈についてのページにて、遺贈についてのご説明をさせていただきました。
今回は、その遺贈とよく似た制度である、死因贈与(しいんぞうよ)についてお話しさせていただきたいと思います。
死因贈与という言葉は、何やら死を連想させるようで縁起が悪いと思われる方もおられるかも知れません。(個人的には言い方を変えるべきだと思いますが…。)
これは、贈与契約の一種で、贈与する側の方(贈与者といいます)が死亡したことを原因として、財産の所有権を無償で他の方(受贈者(じゅぞうしゃ)といいます)に移転させる(贈与する)ことです。
死亡したことを原因として財産の所有権を他の方に移転させる点では遺贈も死因贈与も同じです。
また、「贈与」という言葉にもかかわらず、贈与税ではなく相続税の課税対象となる点も同じです。
しかし、遺贈は遺言にて行うため、財産を与える方の単独の意思による一方的な行為であるのに対し、死因贈与は、贈与者と受贈者との契約によって行われる行為である、というのが決定的に違う点です。
また、死因贈与は契約によって行うため、単独行為である遺言ほど厳格な決まりごとはありません。書面によるかどうかも当人同士の自由ですし、撤回も既に履行をし終えた部分を除いては原則として可能です。
(もっとも、トラブルを防止するという観点からは、死因贈与契約についても書面で行うことをおすすめしております。)
【遺贈と死因贈与の使い分け】
では、遺言を用いた遺贈によるべきか、死因贈与契約を締結すべきかはどのように考えればよいのでしょうか。
両者の最大の違いは「当事者の合意が必要かどうか」にありますので、両者の使い分けも必然的にその点がポイントとなってきます。
つまり、
・自分が死ぬまでの間、遺産相続をどうするかを誰にも知られたくない場合には、遺贈
・自分が生きているうちに、財産を誰に譲るのかをあらかじめ明確にしておきたい場合には、死因贈与
がふさわしい、ということになります。
はしもと司法書士事務所でももちろん、遺言書を用いた遺贈や、死因贈与契約書の作成のご相談を承りますので、お気軽にご相談ください。
はしもと司法書士事務所
代表 司法書士・相続診断士・民事信託士 橋本浩史(奈良県司法書士会所属 第471号)
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