1.裁判に訴える前に~内容証明郵便の活用

例えば、「貸したお金を返してくれない」「商品の代金を払ってくれない」「契約を解除したい」などの理由で、相手方に何らかの請求をしたい場合、いきなり訴えを起こすのが良い方法なのでしょうか。

 

もうお分かりかと思いますが、あまり賢明な方法ではありません。
訴えを起こすのはあくまで最終手段としてです。

訴えを起こすことは金銭的コストももちろんですが、精神的なコスト(負担感)も大きいです。そんな大変なことをしなくても本来の目的が達せられれば、それに越したことはありません。

 

また、残念ながら裁判になってしまった場合でも、証拠がなくては勝てません。そこで、裁判所に証拠を提出する必要がありますが、基本的に日本の裁判所は書面を重視しますので、証拠は書面として残しておく必要があります。

 

そこで、裁判に訴える前段階として、内容証明郵便を活用するという方法があります。

 

【内容証明郵便とは】

 

内容証明郵便とは、誰が、いつ、誰に対して、どのような内容の文書を差し出したのか、ということを郵便局で証明してもらって差し出す郵便(手紙)のことです。
また、内容証明郵便は通常、配達証明付きで差し出します。配達証明とは、郵便局が受取人に対して郵便物を配達したことと、その年月日を証明してくれるサービスです。

 

【内容証明郵便のメリット】

 

1.心理的圧迫を与えられる
内容証明郵便自体にはお金を支払わせたりする強制力はないのですが、内容証明郵便が送られてきた、というだけでも結構なストレスになります。人によってはこれだけでこちらの請求に応じる場合もあります。
また、内容証明郵便を送ることによって、後日に裁判になることも念頭においていることを暗に示しているわけですから、こちらの強い意向を明らかにできるのです
この段階で請求に応じてくれさえすれば、わざわざ裁判に訴えなくても目的は達せられますので、上記のようなコストはかからずに済むわけです。


2.裁判の証拠として利用できる
内容証明郵便を活用する最大のメリットがこれです。実際に裁判となった場合に、証拠となる書面がないと「言った」「言わない」の水かけ論になってしまいます。
また、書面でも例えば普通郵便では、「出した」「出さない」「受け取った」「受け取らない」で水かけ論になってしまいます。
そこで、このような言い逃れを防止するために内容証明郵便(配達証明付き)が役立つのです。
また、契約の解除や時効の中断などの場合では、意思表示が「相手方に到達したこと」が法律上必要になります。このような場合、内容証明郵便(配達証明付き)を用いてそのことを証明します。

 

【内容証明郵便の作り方・出し方】

ここでは書面にて作成する方法をご紹介します。


◎用紙…特に制限はありません。内容証明郵便用の用紙も販売されていますが、普通のA4用紙などでOKです。
◎書き方…これも制限ありません。自筆でも、パソコン・ワープロでもOKです。
◎文字数…これは厳格に制限されています。用紙1枚につき520字です。
縦書きなら20字×26行、横書きなら20字×26行、26字×20行、13字×40行です。
句読点やかっこなどの記号も1文字としてカウントします。文字数が多いときは2枚目…となります(料金が上がります)。

 

①まず、内容証明郵便にする文書の文案を作成します。

②出来上がったら、同じものを3通準備します。

③その文書3通、送付用封筒、お金、場合により印鑑を持って郵便局へ行きます。
※集配業務をしている大きな郵便局でしか扱ってくれませんのでご注意ください。

④郵便局で不備がないかチェックしてくれますので、その後で料金を支払います。
※配達証明付きにしてもらうことを忘れずに。

⑤あとは郵便局にお任せです。相手方にきちんと配達されれば後日、配達証明書のハガキが届きます。

 

料金は文書が用紙1枚の場合、配達証明付きで1,252円です。用紙が増えると、1枚につき260円追加です。また、郵便物の重量や速達にすることで追加が発生します。