40.相続財産の調査方法について その2 預貯金や有価証券の調べ方

Q.母は生前、複数の銀行口座を持ち、株取引や国債の購入などを行っていました。また、インターネットでも株取引をしていたようです。但し、明細書などが見当たらず、パスワードも分かりません。


今回、遺産分割をするにあたって、これらを漏れなく調べたいのですが、一体どのように調べれば良いのでしょうか。


A.まず、預貯金につきましては、通帳や証書などにより、残高や取引履歴を確認します。相続税の申告手続きが必要と考えられる場合には、金融機関に相続開始日現在の残高証明書の発行を請求します。


株式や国債、投資信託などの有価証券につきましても、被相続人(亡くなられた方)宛に届いた郵便物やメール、金融機関の口座の入出金記録などを手がかりとして、やはり証券会社などの金融機関に残高証明書の発行を請求することになります。


前回(39.相続財産の調査方法について その1 不動産の調べ方)に引き続き、相続財産の調査方法のお話です。


相続財産の中で、不動産に次いでその割合が多いのが、金融機関に対する預貯金や、株式・国債・投資信託などの有価証券類です。


まず預貯金についてですが、基本的には金融機関で取引履歴が管理されていますので、通帳や証書があれば、その記載内容が手がかりとなります。


基本的には相続開始日(=亡くなられた日)が基準となりますので、その日現在の残高が相続財産となります。


但し、相続税の計算にあたっては、相続開始日前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産の価額が加算されますので、相続開始日前3年間の取引履歴も確認しておく必要があります。


また、相続税の申告手続きの添付書類となっているため、特に相続税の申告が必要と思われる場合には、金融機関に対して相続開始日現在の残高証明書の発行を請求します。


残高証明書の発行請求にあたっては、戸籍謄本類や相続人の方の印鑑証明書が必要となるのが一般的ですので、ご留意ください。


一方、有価証券類についてですが、こちらも証券会社などの口座によって管理されているのが一般的ですので、取引のあった証券会社などに対して相続開始日現在の残高証明書や評価証明書の発行を請求します。戸籍謄本類や相続人の方の印鑑証明書が必要となる点も同様です。


被相続人の方が生前、複数の金融機関や証券会社などと取引されていた場合、相続人の方がそれらを漏れなく探索するのは大変だと思います。


例えば、被相続人のご自宅近くの金融機関に口座の有無の照会を一通りかける、という手もあります。また、金融機関や証券会社などからは定期的に郵便物やメールが届くはずですので、それらの他、口座の入出金記録などを手がかりとして探し出してゆくことになります。


詳しくは、お気軽にご相談ください。